■露呈された石原発言に対する政府首脳の危機認識の希薄さ

 石原知事が米国のシンクタンクの場で尖閣諸島の購入発言をしたことはさすが
に驚いたが、地権者も国は不安であるから東京都と交渉することとしたことも考
えてみれば納得のいくことである。尖閣に対する危機感が、中国からの批判が
あっても、誰かがやらねばならないことと、これまでの政府が何も行動をしな
かったことに対する痛烈に批判することを忘れていなかった。この動きには大い
に賛同したい。

 領土領海を守る法整備を求める海上保安庁改正案などが国会に上程されている
にねかかわらず、いっこうに審議されている様子については聞いていないことも
あり、心配していたが、石原発言によって、再び尖閣問題はにわかにクローズ
アップしていくことになりそうだ。

 それにしても野田首相が石原発言を受けて、国による購入も視野に政府として
地権者との接触をはかる考えを示唆したが、「尖閣諸島は事実上実効支配してい
る」との発言や、藤村官房長官も「今は借りているが、必要ならそういう発想で
前に進めることも十分ある」との発言には、中国の公船が1ヵ月に1回、尖閣諸島
沖の水域に侵入している事実は、実効支配しているといえるのか、この状態は国
が国有化しない限り、我が国の国土としての意思表明をすることができず、「必
要」に迫られているのではないかとの認識が決定的に欠けているように思える。

 結果的に国民運動としては、石原発言は領土領海防衛の後押しとなることを期
待する。