■一票の格差問題による「無効」と現実の政治構造とは別ではないか

 この2、3日間、5月3日開催の第15回憲法シンポジウムの案内や6月8日開
催の櫻井よしこ先生、百地章先生をお招きしての日本会議大阪設立15周年記念講
演会の案内の発送作業にかかり切りで大変であったが、ようやく一通りの計画を
終了できる見通しが立ち、少し安心した気分でいる。

 と思っていた矢先、今度は弁護士グループが全国各地で昨年の衆議院選挙での
投票状況の一票の格差問題について提訴、判決が違憲状態であるだけでなく、選
挙そのものが無効であるとの判断やあるいは期限を設定することなく即時無効と
の強硬な判断を下すなど、連日報道されていることが気になった。

 確かに一票の格差の問題についてはかつて最高裁が違憲状態である判断を出し
てから何もしてこなかった政治の不作為は重大問題であり、定数是正一つにして
も身を切ることは自らの政治生命に関わる事案であるだけになかなか動きが鈍い
のが現実である。

 それにしても、ある議員が「司法の立法への政治介入ではないか」と批判をし
ていたが、司法判断が直近の衆議院選挙を無効にするというのは、やはり乱暴で
はないかと思うのだ。しかも一連の判決は誰も憲法上、反論することのできない
自明の前提であるから厄介である。さらにマスコミも違憲状態のままの国会は果
たして成り立つのかといった調子で判決の意味を誇大に報道しているために国会
の正当性に対する国民の不信感を増大させているのに一役買っている。

 小生には提訴した弁護士グループが一体、どんな目的で提訴をしたのか、また
判決を下して裁判官がどのようなことを背景にして「無効」という用語を用いる
のかは、皆目見当がつかないが、ある種、形を変えた反政府運動のような気がし
てならない。

 誤解をおそれずに言えば、この動きと今日の国民の危機意識を背景とした政治
構造は全く別物であることを明確に言う識者がいてもいいと思う。しかし、あま
りそういう論調を見たことはない。何か不愉快な気持ちにさせられる動きである。

 ただし勿論、今の選挙制度が著しく不公平であることは間違いがないことは付
言しておきたい。