■在外邦人の生命を守るとは

 アルジェリアでのイスラム武装勢力によるテロ事件の顛末は、8ヵ国にわたって捕虜になった、何の落度もない人々、50人ともそれ以上に及ぶ死者を出した。テロ事件が横行する中で、武装勢力の要求には断固拒否する姿勢を取り続ける政府にとってみれば、人質救出作戦を長引かせることは、プラント全滅とテロリストの放逐、軍の疲弊と国民の支持を食い止めることができないというギリギリの選択であったと思う。石油プラント「日揮」から派遣された多くの在留邦人も昨日までに7名が殺害され、3人が行方不明ということであるが、政府軍が武装勢力を制圧した後、何日たってもその被害情報が錯綜としていて、まだ全容がわかっていない有様だ。これも驚くべきことであるが、それでも、安倍首相が東南アジア歴訪を早く切り上げて、帰国、早速に対応する会議を招集したこと、また被害にあった人々を帰国させるために政府専用機を手配したこと、そして城内・外務政務官を派遣して、プラントの情況とご遺体が運び込まれた病院へ乗り込み、直接、確認したことは政府として「今、できること」の最良の行動であった。

 アフリカと聞くだけで、わが国は遠く離れた所で、フランスやイギリスなどかつて植民地を持っていた国々とは異なり、ほとんど日本人にとってはなじみがないものの、考えてみると石油だけでなく、希少鉱石を産出するところであり、資源獲得に血眼となっている中国などは盛んに資源外交を繰り広げていることあり、わが国にとっても戦略的にも重要な所であることは間違いがない。

 テロによる殺害事件は中東・アフリカであれば日常茶飯事であろうが、日本国内にいると突発的な犯罪行為はあるものの、まずテロ行為によって襲撃されることはなく、普段、死の恐怖は全くなく治安は守られていることもあり、どうしても画像のことのようにしか感じられない。しかし、在外邦人が企業を通じて日本のために自らの技術をもって、多くの外国人と接し、その開発のために尽力しており、常にこのように生命の危険に晒されている所に多くいることを感じざるを得ない。

 そして、在外邦人は民間であろうと、最終的にその生命を守る義務はわが国という国であるという厳然たる事実を見る時に、海外邦人の救出のために、どんなリスクを冒しても遂行するための軍隊の存在が必要なはずだ。我が国は遅ればせながら、自衛隊にその役目を担ってもらう法律の改正が迫られていることを痛感する。