■門田隆将先生(ノンフィクション作家)著「太平洋戦争 最後の証言 第三部 大和沈没編」(小学館)を読んで

 本日、ようやくにして、門田先生の標題の本を読了することができた。「最後
の証言」シリーズの三部作の完結編であるが、やはり本書も今日、失われつつあ
る日本人の希望と誇りをもう一度、読者をして一気に振り返させる迫力があった。

 「戦艦大和」の誕生から戦争に向い、そして沈没もろとも海中に投げ込まれ、
奇跡的に助かった戦士の方々の証言はどれも素朴ではあったが、いかに当時、
「大和」が国民的な期待をかけられていたのか、そしてそのスケールの大きさ
と、制空権がない中で、能力を十分に生かし切れないままに水上特攻の使命を果
たさなければならなかった悲劇が兵士一人一人の体験から、全体がイメージできた。

 筆者は、この三部作を通じて戦争体験は希薄になっても事実と英霊の思いは残
ることを一貫して、描いている。しかしこの完結編では「負けいくさ」の中で、
日本の将来がどうなるのか何の補償もない中で戦いに身を投じていった英霊の姿
が生き残りの兵士に言葉に確かに語り継がれていた。

 だが、筆者の英霊、生き残りの兵士への視線は、限りなく温かい。そこにこそ
「日本人の希望」があったのであり、今、我々の世代は、その「希望」を過去と
するのではなく、自分達の血の中にその希望を実現する活力が流れていることを
確信することだと訴え続けているのではあるまいか。

 久々に粛然とした思いで本書に対することができた。是非、お読み下さい。