■「コップの中の嵐」だけを見させられる国民

 昨日早朝、台湾の遊漁船と巡視船が尖閣諸島を目指し、領海内に侵犯した。ようやくにして11管の海保の警戒態勢の中、領海外に出たが、台湾が漁船だけでなく、巡視船という公船を繰り出したことに台湾当局も絡んでいることがわかる。当然、わが国海保の巡視船との交錯もあり、一たび誤れば全面衝突するところであった。この動きは保釣連盟の恫喝に似た抗議活動の一環であるが、中国だけでなく、台湾が深く関わっていることは注目しなければならない。 

 例によってわが国政府は「絶対に許されないことである」と遺憾の意を表明、官邸に情報収集のセンターを設置したということであるが、根本を変えようという姿勢がないのであるから、この種の事件はこれからも起こる。 

 大いに問題なのは、同時並行の形で国後島にロシア首相が上陸し、併せて26隻にも上る艦船が宗谷海峡を通過し、ロシア、中国、台湾がわが国の政局混乱を見越した上で、何もできないと判断して動いていることである。換言すればわが国を舐めきっているのである。 

 分裂、新党騒ぎの中で、「こんなことをしていいのか、すぐそこまで周辺国が我が領土領海を簒奪しようとしていではないか、これに対して、国を代表してどうするのか、領土領海を守る法整備をつくることが国民の生活を一番守ることになるのではないか」と声を挙げようとしない。

 そればかりか、近い将来の選挙のゆくえだけを見ている習い性は変わらないのか。 

 いつ見ても、わが国の国民は「コップの中の嵐」だけを見させられるしかないのか。わが国の安全保障は既に風前の灯ではないかと思う。 

 周辺国はわが国の混乱の収束を待ってくれないことを肝に銘じた政治家は出てこないのか。